ビルエヴァンスとジムホールの奇跡のテープ

2回目のアルバムの演奏。バンドから離れたギターリストと最高のライブアルバムを作った後相棒を交通事故で失ってスランプのピアニスト。1962年4月のスタジオ録音はまだ少し二人共ぎこちなかってた。それから3週間後の5月14日の2度目録音。
プロデューサーがバラードをやろうと提案すると、エヴァンスは曲集からおもむろに1枚の楽譜を取り出した。My funny Valentine.始まりは緊張する程の強く緊張感漂う早い出だし。ギターリストはバラードだと思っていたのが、激しいスピードにすぐに追随した。普通はピアノが弾いている間はギターはコードをその間を崩さず弾いていく。その逆ピアノがメロディーを弾いている時はピアノがペースを保つようにコードのバッキングをとる。しかし二人とも、メロディーを互いにぶつけ合う。でも異音も違和感も感じない微妙なところで相乗効果の美しさとなる。
終わった時にはその2度のリハーサルは録音されていた。結局スローバラードは
止めにして、その偶然の録音はアルバム Undercurrent のテーマ曲になった。
もし、そのリハーサルが偶然録音されてなけば、このアルバムの雰囲気は随分変わったはずだ。