伊藤君子 Everytime we say goodbye とビルエヴァンス Crosscurrent ハードボイルド19

その団体は宗教でもない。秘密結社ではない。ちゃんと丸の内に本部があり、財団法人として登録されている。宗教ではないが各種儀式はある。アメリカの大統領も大半がその団体に所属している。日本の歴代の総理で長期政権であるのはその団体所属と言っていい。
以前、レフティの案件でフィリピンへ行った。目抜き通りの記念碑この時計台はその団体のものだ。この建物もそうだ。。。有名なものはその団体の寄付だと彼は説明する。
その案件で数日打ち合わせが必要である予定が、初日のたった1時間で契約してしまった。拍子抜けしたようにしていると、あの社長もその団体の幹部だととポツリと言った。

その団体の唯一変わったところは、絶対にその団体に入る事を勧誘しない事だ。何故だかわからないが、誘う事はしない。逆に入会は簡単だ。将門塚がある隣の丸の内のビルにある本部へ行って年会費5万円を払えばそれで入会だ。その団体の推薦者1名を知っていればいい。
そして、デルモンテ ゴルフクラブへ行こうとレフティは言った。
デルモンテとはまさしくパイナップルのデルモンテだ。フィリピンでパイナップルのプランテーションを作った時、アメリカ人幹部は娯楽用にデルモンテ ゴルフクラブを作った。アメリカ人にとってはゴルフ場は、ちょっとしたテニスコートを作るようなものだ。
レフティは最初からその契約が1時間で終わるのを見越したかのようにすぐに飛行機のチケットを入手し、翌日のフライトでミンダナオ島のカガヤン デ オーロへと向かった。
カガヤン デ オーロはイスラムゲリラのアブサヤフがいるミンダナオ島の中で唯一安全と言われている都市だ。もちろん、日本企業などは1社もない。空港から直接ゴルフへ向かうと日本でもトーナメントに出場しているフィリピン出身のＭプロがラウンドしていた。
終わった後は、パイナップルをたらふく食べた牛のステーキはジューシーだ。
後から考えると彼なりに
私にその団体に入らないかと婉曲に誘っていたのだろうか。

上海は雨だ。
飛行機は遅れ、１時間遅れで出るが、豪雨で浦東エアーポートには着陸できない場合は、羽田または成田に引き返すとアナウンス。同じく北京行きも、日本に引き返す条件付きでの出発となっていた。何故だか天津の爆発が気になった。もう一つ化学工場が爆発中国でしているし、朝鮮でも軍事の小競り合い、相模原の米軍基地も爆発。。。なんだか実はJALは豪雨ではなく、戦争が始まったり、実は原子爆弾が使われること知っていて、引き返す条件付きとアナウンスしているのかと、不安になっていたら問題なく上海に到着。

結局怖いお兄さんも登場せず。もう一軒とは、深夜の羽田便で上海に飛ぶことだ。
飛行機を出ると、公安の制服を着た20代の女性が、きっとこれは日本語会話CDを流しているのではと思うぐらい中国訛りのない美しい日本語で、私の名を呼びついてくるように指示され、イミグレーションも通らずに黒塗りのベントレーに乗せられ、高級ホテルへむかった。

朝 ベットルームを出ると隣室のラウンジに朝食が並べられている。朝食が終わって、コーヒーを飲んでいると伊藤君子のFollow meが音の出ないCNNテレビのバックグラウンド ミュージックでかかっていた。
これは映画Ghost in the shell の続編の映画イノセンスの主題歌。せつないJAZZバラード。戦争が始まり、原子爆弾で東京は崩壊する。新しく出来た新都市は各国からの難民で溢れる。街の看板、ネオンサインはすべて中国語で埋め尽くされている。戦闘用の目を持った主人公 バトーのハードボイルド ストーリー。
ずっとその後、伊藤君子のJAZZバラードでBill EvansのCrosscurrent のEverytime we say goodbye も歌っていて何故だかそのCDが欲しくなった。
何故 上海で日本のJAZZ歌手の歌がかかるのかと考えていると
彼は現れた。。。。

フォロー・ミー

KIMIKO

イノセンス オリジナル・サウンドトラック