Brad Mehldau とビルエヴァンスの共通点 ハードボイルド２９

ハードボイルド２９)
24時間きっかりでまた元のジャズバーに戻った。彼は２４時間前と同じ席で座って、まるで私がトイレに立っただけのように驚きもせずJBLのスピーカーから流れるジャズに聴き入っていた。Brad Mehldau
Brad Mehldauをしばらく聴き続けていたことがある。2日間ＬＡのホテルで彼女を待って、デルタ航空のアトランタ便に乗った。ＬＡーアトランタの長い5時間の飛行機の中、機内のデルタ ミュージックのジャズコーナーのBrad Mehldau アルバムHighway rider をヘッドホンで聴き続けた。ピアノソロやトリオではなく、オーケストラ仕立てのアルバムだ。ピアノのソロ、アドリブも少ないアルバムだが、その後デルタに乗るたび毎にそのアルバムを選んで聴いた。
CDさえ買って聴き続けた。
飛行機の中で目を閉じると、彼女が高校生や子供たちにダンスを教えている光景が夢の中で見える。
Congratulation !
我々の団体へようこそ。
君たちの団体へ入ったわけではない。
だがもう君は入った事になっている。さもなければもう君は消えているはずだ。または新聞の小さな片隅に日本人上海のホテルで飛び降り自殺の記事が載っていて、俺は君のその記事の隣にあるどこかのバカがやった失敗が発表される前に、その会社の株を空売りして今頃は家に帰って妻の味噌汁を飲んでいるはずだ。
でも私は入ると言った覚えはない。
とにかく、君は入っている。嫌もクソもない。
テンプル騎士団の入団儀式をする必要があるが、それは後日だ。
君にはここへ行ってもらう事にした。そしてメキシコ行きの飛行機のＥチケットの控えと100ドル札の入った束。
何のために？
彼の娘に会うためだ。
ミキ。。。
君の会社の会長には頼んでいる。明日からは会長の特命事項で長期海外出張になる。元々君は一人単独で仕事をする事が多い。誰も変だとは思わない。
俺はこれでみそ汁を飲みに家に帰る。

Highway Rider

ポートレイト・オブ・ビル・エヴァンス

Brad Mehldauは自分がエヴァンス派と言われることは好きではないようだ。チックコレアなど名だたるミュージシャンはエヴァンスに捧げるなんてアルバムは自分では作っていない。
一つあるのは
Portrait of Bill Evans
このアルバムにはボブジェームス、デーブグルージン、ハービーハンコックに混じってメルドウも2曲参加している。
The more I see you
My heart stood still.
ビルエヴァンスに捧げるにしては地味な曲だ。
The more I see これはLee Konitzアルバムにエヴァンス参加した時しか見つけられない。
でも それ以上にこのThe more I seeは限りなく美しい。エヴァンスが生きていれば、こんなに上手く弾けないよ、といったかもしれない。

ビルエヴァンスとブラッドメルドウの共通点はピアノテクニックではなく癒される優しさかもしれない。