1987 made in USA Waltz for Debbyとblu-Rayどちらも良い。ハードボイルド22)

Waltz for Debby は一杯もっている。Hybrid-SACD,SHM-SACD.XRCD,blu-Ray。。。つまりほとんど全ての形式を持っている。
一番好きなのはJVCのその当時の技術者(技術ではない)の心XRCD。瑞々しいSHMーSACDもいい。どれも完璧!と思っているけどMy foolish heartの終りの音の歪みが気になる。これはコンプリート ビレッジヴァンガードではなくなっている。

何気なく、普通のCDを聴いてみると2枚で歪みがなかった。もっとレアなものと思ったら、実は手許に、尚且つ2枚もあったなんて信じられん。そのうち1枚はアメリカの中古ショップでたった1ドル。
どちらもmade in USA。1987年製Fantasyと1992年fantasy 。1枚は刻印番号もない。世間で高額で販売されているが、人生とは不思議なものだ。あら、普通に歪まないんだ。これもいい。
そしてBlu-Ray Audio は歪みはわかるが、音色が素晴らしい。
レコードは聞かせてもらっただけで持ってない。

ハードボイルド22)

1961年6月25日 日曜日にビレッジバンガードの主役はレコーディング エンジニアのデビッドジョーンズだ。
リバーサイドのチーフ レコーディングエンジニアは休暇を取っていて、プロデューサーのオリンキープニュースは急遽無名であったジョーンズを指名した。
彼の使用していたのはAmpex350でそのモノラル録音機を自分でステレオに改造した。
大丈夫かと思うが、幸いな事にポートレート イン ジャズで枯葉がモノラルになったようにはならなかった。それは単なるラッキーだった。たとえダメであっても当時人気もないジャズトリオの事なんか誰も気に留めなかっただろう。まばらな観客。観客と言うか、たんに酒を飲みに来ただけの客ばかりで雑談をしている。オリンキープニュースまで誰かと歓談し大声で笑っているのが、その録音から聴ける。拍手もまばら。ビルエヴァンスは淡々とブロックコードを弾き、一人ラファロだけが、熱を帯びてベースを弾くと言うより指を打ちつけた。そんな奇跡をデビッドジョーンズは完璧に録音をした。そしてそのジャズの歴史を彼はたった一つだけ作り、そのまま歴史から消え去った。
マイクは日本のソニーだ。まだメイド イン ジャパンの神話がない、ジャップの日本製だった頃のソニーだ。奇跡だと思わないかい?
それを売り渡し、抜け殻にしてしまったのは貴方がたの団体ではないのか?と私は彼を見つめた。
彼は今度は哀しそうに微笑み、レコードを引き出し無造作にターンテーブルに置いた。
それを見て私は言葉にならないレコード音のさざ波の中で彼女を思い出し、その哀しそうな微笑みを夢を見ているように思い浮かべた。